暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】


「………ポポクテリアンはある薬草と一緒に合わせ使ってしまいますと非常に危ない食材でございます。ですので、お医者様はこの薬草を出す際必ずポポクテリアンは食べないようにと説明するのです。大体は料理に添える役割で使うので食べると言った事は少ないのですが、料理を提供する際にも注意を呼びかけているそうです」

数年前死亡事故が発生してから、危険食材に認定された物でもあるので、もちろんフィグリネ様もご存知だと思ったのだけど。

「一般販売されていないそんな食材が……なぜ、持ち込まれて居たのでしょうか」

しかも更におかしな事に、それを持ち込んだ人物はこの離宮を任されている専属のお医者様…………の補佐の方。

薬草ならまだ分かるが普通料理人でない人がポポクテリアンを持ち込むなど、どう考えても怪しすぎる。

「そんな事知らないわよ。逆に私の方こそ知りたいわ」

「では……関与していないと言うのですか?」

「当たり前じゃないの。なぜ私(わたくし)が自らを危険に晒させてまでして、そんな事をしなくてはならないのかしら」

それなのに、この方は関与されていないと仰るのか………。


「おかしな事を仰りますね………」

つい呆れて笑ってしまった私へ対し、

「何がよ!」

フィグリネ様は強い口調で返す。

「フィグリネ様…………分かったうえで事前に解毒薬を服用されておりましたね?」

「…………………っな!」

使った覚えがないのに、解毒薬が一つ消費されていると補佐の方の事で確認を取った際お医者が話してくれた。

補佐が仕入れたポポクテリアンと謎に消費された解毒薬。

それは一体何に使われたのか。

もう分かるだろう。


< 228 / 368 >

この作品をシェア

pagetop