暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「わ、私(わたくし)の手……ですって?笑わせてくれますわね(笑)これのどこが証拠だと言うのかしら」
そう言ってあざ笑うフィグリネ様に、私は瓶に入れられたある液体を見せる。
「それは……」
「どこにでも売ってあります普通のお酢でございます」
「それが今の話と何の関係ありまして?」
フィグリネ様はご存知ないのでしょう。
このお酢がこの場の証拠証明には欠かせない物だと。
「先程……証拠はフィグリネ様の手だと申しましたが、正確にはフィグリネ様かフィグリネ様付きの侍女のどちらかにその証拠があるはずでございます」
チラッと視線をフィグリネ様の後ろに控えている侍女のレイジュさん……に向けると、驚いた表情で自分の手を見た。
……………………その行動がまた一つの証拠となる事をご存知でないのでしょうか。
もはや『やりました』とでも言っているよう。
「話が逸れましたがポポクテリアンを料理の上に添える際、料理人は必ず手に手袋を付けます。それはなぜだと思いますか?」
「あら、衛生的に問題があるからではないのかしら」
「それもあるかもしれませんが、ポポクテリアンを扱う時だけ必ず着用するものだとしましたら?」
「扱う……………時だけ?」
フィグリネ様はその意味を深く考えているご様子だったが、疑問形なところを見るとまだ分かっていないようだ。