暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
一度この場を後にしようとドアのある方向へ身体を向けたとき、何やらフィグリネ様のブツブツ……と小さく喋る声が後ろから聞こえ、
「……………私(わたくし)が…………こんな侍女ごときに…………………」
「ふぃ、フィグリネ様…………っ!!!」
直ぐにレイジュさんの叫び声が聞こえてきた。
何かあったのだろうか…と私はそう思いつつフィグリネ様達のいる方向へ視線を向けると、そこで見てしまったものとは______………
「私(わたくし)は負けない…………。私は何れ王妃になる女なのよ………!こんな屈辱な扱いされて良い訳がないわ」
「フィグリネ様!!!今ここで処分してしまうのは宜しくないと思いますが……!」
「煩い…!!!貴女をここで処分すれば………この事が表に出ることはない。私(わたくし)をここへ呼び出し…亡き者にしようと企んだ末、失敗に終わり自害した。それで全てが上手くいく」
手に握られていたのは小さな果物ナイフで、それをなんと私に向けていた。
レイジュさんはフィグリネ様が起こしたいきなりの行動にかなり動揺し、必死に止めるがフィグリネ様はその手を振り払う。
「死になさい…………………
アニ!!!」