暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
____ポス……。
そしてその私の身体は暖かい何かに包まれる。
手の感触的にこれは……………………衣類?
目をつぶっているから正確には確認出来ないが、恐らく…誰かの腕の中にいるようだ。
一度どこかで感じた事のある既視感を抱きつつ恐る恐る目を開くと目の前にいたのは、
スフィア様の救出に向かったはずの陛下であり、近くには先程までフィグリネ様が持っていたとされるナイフが地面に転がっていた。
「……………陛下!!」
「そなたは本当に危険が好きだな」
私の腰に腕を回したまま陛下はそう言って呆れたような笑いを見せる。
「危険が好きなわけではございません………………」
そもそも危険が好きな人なんて、まずいないと思うのだけど……。
「いつも駆けつけたときには危険の真っ只中ではないか……。今後は例えそなたの頼みであろうとも、目を離すわけにはいかぬな」
「え、陛下……っ!?」
ということは今後の行動が制御され、自由に動けなくなったと言うことではないですか!!!
里帰りも難しくなりそうだし……………。
「里帰りのときは余も同行する」
………………え?
「余がついておれば危険など起きぬ」
いえいえ……………その方がかなり困る!!!
里帰りして……連れてきた方がこの国の陛下だと仮にでもバレたら、大問題です!!!
「…………………………里帰りは控えます」
本当にそんな事が起こっては困るので、回数を少し減らすことにしよう……。
私が渋々そう言葉を返すと対する陛下は自分の思い通りに出来たのか満足げな顔をされた。
…………本当陛下には勝てない。