暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「…………な、なぜ……………アンディード帝国の陛下様がこの様な場所へ。それに…………アニと何の関わりがおありで……」
「……………………ふっ。実におかしな事を言う女であるな」
そんなフィグリネ様へ陛下は冷めた笑いを見せる。
声も冷ややかで、私へ向けて言われているわけではないのに、思わずビクッとなる。
「貴様とアニーナとでは、まず格が違うと言うのによく偉そうな口を聞けるものだ。上の者に対しての礼儀を教わらなかったのか」
「上の……………者ですって?アニはただの侍女ですのに、なぜアンディードの陛下様はそのような事を………!!」
フィグリネ様にとって私はアルヴァン様の推薦で侍女なった女だから知らないのは当たり前。
それに元はメイドだから別にどんな態度であろうと特に気にしないのだけど……。
「陛下、私の事はどうでも良いのです。この事を王子様に伝えなくては」
そろそろ来てもいい頃であろうアルヴァン様があまりにも遅いのでこちらから向かおうとしたとき、
_____バタンッ。
「一体呼び出して何や!」
「王子様」
ちょうど良いタイミングでアルヴァン様が到着した。