暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「………………っ!!?こ、この状況は一体……」
何も知らされずただ呼び出された事に不満を抱いていた様子のアルヴァン様であったが、瞬時にその場の空気を察し、表情を変えた。
「…………アルヴァン様。お久しぶりでございます」
私は陛下の腕の中から離れると、アルヴァン様にそう言って一礼する。
「なぜあんたがこんなとこに……しかもアンディードの王と一緒におるんや!?」
私を見て最初に口にした言葉がそれですか……。
ため息をつきたくなったが、今はそんな事をしている状況ではない。
「その事については私が説明致します」
知らないであろうアルヴァン様にこれまでフィグリネ様が起こっていた事や、ここにある証拠。それら全てを伝えると、当然の反応だがアルヴァン様は信じられないとでも言ったような顔をした。
それもそうだろう。
今まで信じていた妻が知らぬうちにこのような事を行っていたのだから。
「……………………ほ、本当に今言ってた事を行ってたんか?」
アルヴァン様は地面に座り込むフィグリネ様を上から見下ろすと険しい顔でそう声をかけたが、フィグリネ様は地面を見つめたまま口を開かず、長い髪が顔を隠している為表情すら分からない。