暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「信じられへん………。これは何かの間違いや!」
真実を受け入れきれないアルヴァン様はそう叫ぶが証拠は既に揃っており、間違いなはずがなかった。
「スフィア様は無実でございます。それに私もやっておりません。せめて………それだけは理解して下さいませ」
今後もスフィア様が何事もなく無事に生活できるよう、今のうちに誤解を解いておきたかった。
ずっと誤解され続けたまま生活をするのはやはりキツいし、そうでないと………………誤解を解いてくれる人がもう他にいない気がしたから。
「……………………一つ聞いてええか」
「何で…ございましょう?」
ショックを受けられたのかその声はとても暗く、
「あんたはあそこにいた時からアンディード帝国の回し者やったんか?そしてわざと買われたんか」
悲しそうな目で私を見た。
………………回し者。
確かにそうかもしれない。
人身売買の調査をする為に入り込んだのだから。
しかし、
「私を買われたのは王子様でございますよ?それに誰か様のように拒否権など最初からありませんでした」
弱った私を強引に連れて行ったのはアルヴァン様だ。
わざと買われたわけではない。
「…………それはまさか余の事を言ってるのではなかろうな?」
「………さぁ?どうでしょう」
反応したところを見ると一応自覚はあるみたい……(笑)