暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「こちらへ来てしまったのは何らかの偶然でございますが、関与してしまった以上……見過ごす事など私には出来ません」
どんな形であろうと、これを知ってしまったら何もせずには居られなかっただろうし、
「最後の判断をされるのは王子様でございます。ご自身のお心と目で賢明な処分をお願い致します。私達はそれに従います」
後はアルヴァン様に全てを任せるだけ。
ここはガルゴ王国でアルヴァン様の離宮なのだから、部外者が口を挟むのはここまでだ。
「………陛下。スフィア様の元へ参りましょう」
私は側に立つ陛下へそう言葉をかけると、出口へ向かう陛下の後を静かについていく。
この方達にはきっと考える時間が必要だから、今は二人だけにさせた方が良い。
そう思ったのたが後ろからアルヴァン様に呼び止められてしまった。
「あんたは一体………何者やったんや」
「私は…………ただの侍女でございますよ」
「なぜ侍女がアンディードの王と親しんや?やっぱり愛人か隠密か…………」
私が何者なのか気になったようだけど…………なぜ皆、愛人としか言ってこないのだろうか。
王子様にバレたりなどし、陛下にご迷惑がかかってはいけないから本当の事は言わないけれど、陛下と並んでも似合わないと言われているようで少し落ち込む……。
「先程も言いましたが私は………」
取りあえずバレるわけにはいかないと私がもう一度口を開いたとき、
何を思ったのか……いや、なぜそんな行動を起こされたのか。
被っていた金髪のヴィッグを突然陛下から取られ、隠す物がなくなった私の黒髪が姿を現した。
「…………え?わ!!」
驚く隙さえも与えず、後ろから陛下に抱きしめられる。