暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
私は外を確認しようとして、カーテンに手を伸ばしたとき
____シャッ。
「え…………っ」
私が開くより先にそのカーテンは開いた。
「あ………あ…」
私はいきなり現れたその人物に焦りながらも咄嗟に距離を取り、そして深々お辞儀をする。
それを見てその人物は私を心配するかのように口を開いた。
「起きていたんやな。その…身体は大丈夫なんか?」
「…………っ!?わ、私は大丈夫でございます。この通り元気でございますので!」
「そうか………。取りあえず俺は近くにある椅子に座るとしてユリノーゼはベッドに戻っとき」
私の前に現れたのはアルヴァン様で、私は言われた通りにベッドに戻った。
何か話があってこの場に来たのだろうとは思うけど、アルヴァン様は一向に話をせず、その場は静寂に包まれる。
「…………………」
「…………………」
この重い沈黙が一体何なのかは分からないが、きっとアルヴァン様にとって少し話しにくい事なのだろう。
「…………………あの、アルヴァン様はお身体を崩したりしておられませんでしたか?」
「……俺か?」
「はい!最近はお急がしそうにしていると話に聞きました」
少しでもこの場の空気を軽くしようと口を開いてみたが………。
様子を伺うようにアルヴァン様をチラッと見るとアルヴァン様と目があった。
「そうやな…………体調は崩さへんかったけど、最近は忙しくて正直周りの事まで気が回らへんかった」
気分を悪くされていないご様子に取りあえずホッとする。
「そうなのでございますね。体調を崩されておられないと聞き、安心致しました」
晩餐会を控えていたからでしょう。アルヴァン様は頻繁に外へ出られていたようだ。