暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
それから軽く世間話を交した後、
「ユリノーゼ……君に言いたい事があるんや」
急に真剣な表情をし改まった口調で私にそう言った。
アルヴァン様のこのような表情を近くで見るのは初めてで、一瞬戸惑ってしまったが、きっと私にとっても大事な事なのだろう。
「何でしょう?」
そう聞き返すと、アルヴァン様は少し間をおいてから私に向かって申し訳なさそうに言葉を口にした。
「………すまなかった」
「何の事でしょうか?」
「ここで起こっている問題に気づいてやれず、ユリノーゼを苦しませてしまった。前々からそうゆう事になっていたとは思いもせず……………すまない!!」
アルヴァン様はそう謝罪の言葉を口にすると、なんと私に頭を下げた。
「お…お止めくださいませ!王子様であるアルヴァン様がこのように頭を下げられるなど………」
「いや、謝りたいんや。あのような牢屋に入れられてる事も知らず、元から身体の弱いユリノーゼに更に負担をかけてしまった」
………………アルヴァン様は私がまだ病弱だと思っていらっしゃるようだ。
「私はもう以前のようなユリノーゼではないのですよ?」
「………と言うと?」
「今は普通に外出ができます。お風邪もひきにくくなり、最近はずっと健康なのですよ」
アニが私の環境を変えてくれたおかげか、今までは外の日すら浴びぬ生活から、好んで日を浴びるようになった。