暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
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「弟様がいらっしゃるのですね」
私の発言にユリノーゼはそう言葉を返した。
「えぇ。強いのだけど……なんだか危なっかしくて、離れて暮らしているからかなおさら心配になってしまうの」
グランドは確か14歳でユリノーゼは12歳だから……2歳しか変わらない。
そう思うとユリノーゼは私の妹のようなものだ。
「まだ回復されていないと思いますので、無理のないよう生活を送ってください。もし何かありましたら……気にせず私を呼んでいただいて構いません。時間を見つけこちらへ参ります」
孤独な地で一人というお気持ちは十分に分かるから……。
「陛下、お妃様。お時間が迫っております。そろそろご出発の方をお願い致します」
長居しすぎたようで外からファン宰相様の声が聞こえてきた。
「陛下そろそろ出発致しましょう」
「あぁ。では行こう」
陛下のエスコートを受けつつ、私はユリノーゼの背を向けた。
「アニーナ様……!!また、お会い致しましょう!!!」
「えぇ。それまでお元気で」
ユリノーゼの言葉に答えると、私は陛下と部屋を……離宮を後にした。