暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
この格好的に……寝るつもりはなかったが、ベッドの上に横になったとたん眠気に負け寝てしまった……というところか。
ダブルベッドという意味が分かっているのかいないのか普通にど真ん中で寝ており、ただでさえ疲れているのにさらにため息が漏れる。
だがしかし、あのような事件があった後なのだ。
顔には出さないが疲れていないはずがない。
「昼食を誘いに来たが……もう少しだけこのままでいさせてやるとしよう」
無理に起こすのも可哀想だと感じ、近くの椅子に掛けられていた毛布を妃の身体にそっとかぶせる。
「ん……………陛下…」
「起きたのか?」
「すぅ…………」
起こしてしまったかと思えば、どうやらただの寝言のようだ。
「…………一体妃はどんな夢を見ているのだ」
髪を軽くかき上げ、幸せそうな顔にそっと手を触れる。
それでもぐっすりと眠る妃が起きる気配はなかった。
「また後で呼びに来るとしよう」
二人しかいない空間で小さくそう呟くと、手を離し用意された客間へと足を向けた。