暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
進む正妃任命の儀
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アンディード帝国に到着してからは何だか毎日が慌ただしく、正妃任命の儀に関しては陛下の命令により早急に準備が行われていた。
官僚の中には元メイド、しかも貴族でもない一般人の者を正妃の座などに付けるのは大変相応しくないなどと発言する批判的な者もいたのだが、結局は陛下の殺気に当てられそれ以上何かを発言することは出来ず、
正妃任命の儀には他国からたくさんの使者や王族らが来賓する事になっているのと、寵愛されるお妃様の儀式と言う事もあり、今回はさぞ華やかな式になるのだろうと準備をするメイドらは皆浮立っていた。
「お妃様、このドレスはいかがですか?」
「何を言いますの、アンナ。こっちのドレスの方がお妃様に似合っているに決まっているわ!」
私に仕えるメイドであるダリアとアンナはお互いにドレスを見せ合い、どちらが正妃任命の儀に相応しいか近くで言い争っていた。
「「お妃様はどちらのドレスがお好みでございますか!?」」
「え…?」
話の矛先が私に向けられ二人が言い争っているドレスに目を向けると、そこには水色でマーメイドラインタイプのドレスと、小さく可愛いお花の模様が散りばめられたプリンセスラインタイプのピンク色をしたドレスの二種類があり、タイプは違えどどちらもとても魅力的なドレスだ。
せっかく二人が私の為に選んでくれているのだから二つとも選びたいがそうはいかないので、ここは真剣にどちらにしようか頭を悩ませる。
マーメイドラインタイプは、上半身から腰まで身体にぴったりとフィットし、裾へむけての部分は魚の尾びれのように広がっているのが特徴のドレスだ。
それに対してプリンセスラインタイプは、スカート部分が裾に向かって大きくふくらんだデザインの正統派ドレスで、スカートのエアリー感によって華やかで可愛らしい印象を見せる事ができる。
今回は正妃任命の儀なので可愛い雰囲気のドレスは合わない………かといってマーメイドラインのように身体のラインが出るセクシーなドレスも悪いが正直言って合わない気がする。
他国の王族方とアンディード帝国の家臣に威厳と信頼できる姿を見せる必要が今回はありそうなので、そう考えると……華やかでかつ品のあるドレスになるけれど………。
一体どんなタイプのドレスで何色が良いのかしら。
「困ったわね~……」
私が二つのドレスを眺めながら考え事をしていると、
「では、こちらのドレスはいかがでしょうか?」
「…サニー!あれ、そのドレスは………」
現れたサニーが手にしていたのは意外な物で。
私は持ってきたそのドレスの裾に触れる。