暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「これはあの時のドレスね…」
「さようでございます」
赤色ベースでドレス下が白のフリルが少しついた可愛らしさのあるドレスだけれど、プリンセスラインタイプではなく、胸下からの切り替えでスカート部分の多いエンパイアラインタイプになっており、可愛らしさを残しつつも品の良さを見せる事ができるドレスだ。
あの時は金の刺繍なんて入れられていなかったけれど、サニーが持ってきたこのドレスには入っていると言う事は、
「わざわざ金の刺繍を入れられたというの?」
「陛下のご命令でしたので」
………金の刺繍が許されているのは陛下と正室のお后様だけだ。
間違ってはいないのだけど……何だかこれを着けて皆の前に出るのは少しだけ緊張する。
正妃になると言う事はそれだけの責任が課せられるから。
これを着て陛下に恥をかかせるような真似は絶対に出来ない。
「……二人には悪いけれど当日はこれに決めるわ」
「お妃様がそう仰られるのであれば……それに従います」
「次はサニーさんに負けませんから!」
選ばれなかった二人は落ち込んでいたけれど、金の刺繍とそのドレスをみて納得してくれた。