暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】





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宮殿の敷地内にある外の訓練場には服装の違った者たちが多数集められており、自分らは何の為に呼ばれたのかとその場はざわついていた。

「宮殿から一通の手紙が届いたと思い読んでみれば……結果は書かれていねーし、取り合えず指定の日時と場所に集合するようにと身勝手に書かれているし………意味わかんねーよ」


俺、グラント・セレファーナもこの意味の分からない状況に不満を持つ一人であり、ポツリと小さくそう呟いた。

アニ姉が実家に帰ってきたと思えばまたいなくなるし、しかも一緒に里へ来たクレハとかいう騎士野郎は荷物を取りに帰ってくるなり急いだ様子で出て行ったし。

前は何も言わずに帰るなんて事なかったのに………あの時あいつに連れていかれてから変わってしまったのか?

学校に遊びに来てくれた時は何も変わった様子なんてなかった。だけどいくら手紙を宮殿に送っても返事はこねーし、父さんや母さんは忙しいのよぐらいで特に心配する素振りはみせねーけど、これは絶対に何かあったと俺は思う。

貴族だが何だがしらねーけど、宮殿でこきつかわれているんだ。

だから助けるために学校を辞め、春期に行われる宮殿の兵士に志願したのに……。

「おい、誰か出てきたぞ!」

何十分かその場で待機していると宮殿方面の入口からアンディード帝国騎士団の制服に身を包んだ二人の男が姿を見せた。


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