暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
やり場のない何とも言えないような気持ちを心の中に抱きつつ、それでも落ちたのだから仕方ないと何とか自分に言い聞かせ、その場を後にしようとした時。
「そこの君。なぜ帰る?」
背中越しだがこの声は先ほど結果発表をしていた第一騎士団団長の声だ。
この感じだと番号を呼ばれたが呼ばれてないと勘違いして帰ろうとした志願者を引き留めているといった感じか。
緊張して聞きそびれたのだろう。
「聞こえなかったのか」
声がまた聞こえてくる。
先ほどから第一騎士団団長から呼ばれていると言うのに話を聞かないとは、どこの馬鹿なんだろうな。
俺はそう思いつつ、その馬鹿を見ようと後ろを振り返ると。
「………は?」
何故か皆俺を見ていた。
そして、その第一騎士団団長も俺をジッと見ていた。