暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「………お、俺?いや、そんなはず……」
なぜ皆から見られているのか分からないが、俺は番号すら呼ばれず残りは不合格と切り捨てられたんだ。
聞き忘れるはずもない。
「そうだ、そこの君だ。君はこの場に残れ」
「………俺は番号を呼ばれていないはずですが?」
「いいから残れ」
「………はい」
よく分からない展開に戸惑いつつも、不服そうな表情で取り合えず最初いた定位置まで戻る。
すると次に移った。
「では次に騎士志願者の番号を発表する。志願番号6番、17番、21番、22番、43番、49番、66番、91番、99番。以上が合格者だ」
騎士に志願する者は少ないからか、合格人数もこれはまた少ない。
しかし、あれだけの難問で受かったとはさすが貴族様達……か。
いや、一人違う奴がいるな。
兵士志願者等のような身なりだからか、騎士志願者の中では妙に浮いて見える。
しかし、動かないところを見るとこいつも受かったのだろう。
チャラいような見た目だな……あいつ。
「お前何やらかしたんだよ」
「は?」
近くにいた兵士合格者の一人が興味津々に聞いてきた。
「何もやらかしてねーよ」
「じゃあなんで呼び止められるんだよ(笑)」
「俺が知りてーよ…」
俺だけ皆の前で呼び止められて、変に注目浴びて。
正直、一体何なんだよって感じだ。
「知ってるか?」
「何が?」
「あの第一騎士団団長のギャビンさん!陛下の右腕とも言われ、指示を受ければどのような戦場にも足を運び必ず成果を上げる姿から戦場の死神とも呼ばれているらしいぜ」
「戦場の死神?」
「何せギャビンさんがその戦地へ行けば必ずその国は亡びるらしい。というか攻め落とされるらしいぜ。まぁ、気を引き締めて頑張れよ(笑)」
そういってそいつは俺の背中をドンっと叩く。
ヒリヒリして少し痛い……こいつ馬鹿力だ。