暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
でもこいつが言うように何かなけりゃ俺はこの場に呼ばれていないはずだ。
となれば、俺は知らない間に何かしてしまったのか?
思い出そうとしてみるが、特に問題点は見当たらない。
「そこの志願番号1015番」
………っ!!俺だ。
「……はい」
一体何を言われるのだろうか。
「お前も合格だ」
…………ん??
え……何が???
いきなりの言葉についていけない。
「宮殿の騎士として歓迎する」
第一騎士団団長がそう言い、フリーズする俺に対して周りは驚いた表情でざわめきだつ。
「聞いているのか?」
「……あ、はい!でも俺は兵士志願だったはずですが?」
兵士志願して騎士として受かるなど今まで聞いた事がない。
「兵士としては試験に落ちた……が騎士としての資格があるように見えたので、騎士として採用させてもらったが君は嫌だっただろうか?」
「い、いえ……思ってもいない出来事に思わず言葉を失っていただけです。頑張らせて頂きます!!」
「そうか。期待している」
―ざわざわ……。
第一騎士団団長が俺に向かってそんな事を言うものだから、再び辺りは騒ぎだす。
副団長でさへ驚いているような表情だ。
………しかし騎士であれば側近部と近づきやすいかもしれないな。
見回りと言ってアニ姉を探す事ももしかしたら可能かもしれねーし……。
俺にとってはまたとない好機だ。
「では、今から制服の採寸と身分証明書の手続きを各部署分かれて手続きを行ってもらう。寮に入りたい奴は手続きの際に受付で言うように!」
「「「「「「はい!!!!」」」」」」
採寸はまだ騎士と兵士で分かれるからそこまで時間はかからなかったが、手続きをしようと長蛇の列ができ時間がかかったのは言うまでもない。