暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
合格発表されて一週間後。寮に入る者達は仕事が始まる五日前の期間中にそれぞれ荷物を持って各自指定の受けた部屋へと足を運んでいた。
仕事が開始される日までは好きに時間を使っていい事になっており、大体の奴は城下町におりたり周辺情報を知る為に散歩をしたり…と、自由に時間を使っている。
――ガチャ。
「お~!思ったより広いな」
実家にいたときより半分も広いその寮部屋に思わず声を上げる。
クローゼットや机、寝る為のベッドなど必要最低限の家具はある程度揃っており、その他に必要な物は各自買っていくスタイルのようだけど、これだけで十分に生活が出来る。
「うるさい姉貴が隣にいねーからゆっくり出来るじゃん!!」
いつも部屋越しに聞こえる姉貴の声。最近何かの小説にハマっているようで、深夜にも関わらず騒いでうるさかったんだよな……。
「取り合えず実家から持ってきた荷物を整理して……後は剣の自主練か?」
一応剣も持ってきたがこんな物を外で振り回していたら……さすがに問題だよな。
「木刀ならまだ大丈夫そうか。城下町なら色々な物が売っているってアニ姉が昔言っていたし、ちょっと出かけてみるか」
荷物をある程度片付けると、練習用の剣を買うべく俺は城下町へとおりて行った。