暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
そういえばなぜか最近は国境近くの町も兵士達が日夜問わず見回っているからか、危ない輩は減った気がするし……急に国の体制でも変わったのか?
――ドンッ。
冷静にそんなことを把握しているは急に背中が壁に押し付けられる。
「お前不正合格なんだろ?どんな賄賂使ったんだよ」
「兵士志願が騎士として採用されるなど今まで聞いた事がねぇ!!裏で何したんだよ(笑)」
「こいつ怯えて声もでねーぜ(笑)」
「…………」
何だろうこいつら………凄い面倒くさい!!
俺は田舎育ちだけどここの奴らは皆こうなのか!?
「おい、何とか言えよ!!」
と言うか不正合格なんてこの国に限ってあるわけないだろう。
他の国とは違って実力主義なのだから、賄賂を仮に使ったとしても実力なき者を騎士や兵士として受け入れるなどまずしない。
後で足手まといになるか、戦場で無駄死にするかのどちらかだ。
「イブリン君は貴族でありながら騎士ではなく兵士になる道を選び合格した凄いお方なんだぞ!!」
「俺たちでさえ合格出来ないほど難しかったのに流石は貴族のお方だよ!」
「普通貴族なら騎士を選ぶのにあえて兵士を選ぶなんて、僕ら庶民の味方だよ~!」
無言なのを良い事にべらべらどうでもいい事を喋っているけど、簡単に言えば………。
「ただ騎士に志願して落ちるのが怖かっただけか、騎士になるだけの実力がなかっただけだろ……」
ボソ……。
つい口から出てしまった言葉。
『あ、やべ~』と思ったがすでに遅かった。