暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「あ、朝礼終わったみたいだね」
ライのその言葉で辺りを見渡すと、並んでいた騎士たちはそれぞれ持ち場に戻ろうとその場から散り始めていた。
「では、新人騎士達よ。前に来い」
「「「「「はい!!」」」」」
第一騎士団の副団長の声で俺たちは前へ移動し、横一列になる。
対面には各団の団長達が整列していた。
「では、団を発表する」
第一騎士団の団長は俺らに向けてそう口を開くと、一人ずつ名を呼んで発表し始めた。
「~…は第9騎士団。ライディアン・ビルクとグラント・セレファーナは……」
「あ、一緒に名前が呼ばれるって事は俺ら一緒の団かもな!」
「そうみたいだな」
まとめて言われるのは良くある事みたいだが配属される団が問題だったらしく、発表されると持ち場に戻る最中の騎士たちは皆一斉に振り返った。
「第2騎士団」
―――ざわ……ざわ……。
「これで新人騎士10名の配属を終了する」
「……え、第2騎士団とか間違ってんじゃねーの…??」
第2騎士団と言ったら上から二番目の騎士団だ。
普通入って直ぐ第二騎士団に配属される奴はあまりいないと聞くが、まさか………俺が。
「俺ら凄くね~!?なぁ、グラント!俺ら凄いよ!!」
「……いや凄いけど、なんで第二騎士団何だ?どう考えても貴族出身でも何でもない俺らが直ぐ上の団に入れるとか可笑しいだろ。逆に怖くね?」
何かの罠っていうのも十分にあり得る……。
でも誰の罠何だ?陥れるようなやつとか考えつかねーし、そもそも知り合いがいねーし。
「確かにそうだけど、決まったもんは仕方ねーよ(笑)それに上の方が逆に動きやすいかもしれねーよ?」
「………それもそうだな」
ライに丸め込まれた感じはあるが……決まった後に色々考えても仕方ない。それなら仕事をして、なぜその団に入れられたのかを探った方がまだ早い。