暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
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…可笑しいとは思っていた。
中々会わせてくれないし、両親に真実を伝えたいと陛下に申し出た時はその必要はないと言われるし。
何の事かと思えばこの事だったのね……。
「……どこから話したら良いか正直分からないけど、まず最初にごめんなさい」
「……え!??」
私がグラントに頭を下げると、まだ私の事をそっくりなお妃様と信じているのか、グラントはその光景に驚きの声を上げる。
「妃になったのは最近の事で……と言ってもだいぶ経つんだけど、昨年ぐらいに妃になったの。本当は両親やグラント達にもこの事を話したかったのだけど、タイミングが掴めなくて……。クレハと里に行った時も、結局は隠してしまった」
まさかこんな形で本当の事を話すなんて……。
だけどこうでもしなきゃずっと隠していたかもしれない。
そう思えばこの機会はとてもありがたく感じる。
「……待って…下さい。俺はお妃様の言っている意味が良く……」
頑張って慣れない敬語を使っているからか、言い方がたどたどしい。
「……ふふっ…。そんな無理に敬語使わなくていいのよ?いつも通りで大丈夫」
「いつも通り……と言う事はやっぱり……!!」
ここまで言ってグラントはやっと私が姉である事に気が付いた。
恐らくグラントの頭の中では『そっくりなお妃様が変な事を言うな~』ぐらいにしか思わなかったのだろう。
「グラント…久しぶり」
「アニ姉!!?……なんでこんな事に」
私イコールお妃様と結びついたところでグラントはこの姿に驚きの声を上げる。