暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】

「………………アニ姉が幸せならそれがどんな立場であろうと俺は構わない。例えば境遇が変わろうと、アニ姉を守りたいという意志は変わらねーし。だけど、アニ姉が傷つくのなら話は別だ。だから、アニ姉を傷つけたときは俺が許さねーから覚悟しといて下さい」

グラントはそう言うと陛下をジッと見つめ、対する陛下は

「ふっ…安心しろ。お前の出番はまずない」

そんな挑発的なグラントに笑って返した。

こんな異様な光景よりも、今日が初対面の陛下に向かって強気な発言をする我が弟は、思った以上にメンタルが強いのかもしれない……………。


この後、私はグラントにあの日クレハと一緒に家へ帰れなかった理由やガルゴ王国で体験した事、そして陛下は私の力を知っているという話を聞かせると、

一瞬顔が青ざめた後、『ちょっと用事を思い出しましたので、団長の元へ戻ります』などと言うので、嫌な予感しかしない私はクレハに何もしない事を何度も念を押すのが大変だった______…………。


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