暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「今日よりアニーナ・ミドル・アンディードを宮殿の習わしにより皇后に任命する」
陛下がそう叫ぶと、再びその場は歓声と拍手に包まれる。
「陛下万歳!!」
「皇后様万歳!!」
上から見る景色は今までの下から見る景色とは全然違い、陛下のお側に立てているという幸せもあったからか、感極まって泣きそうになる。
だけど今泣いてしまえばせっかく化粧してもらったのに台無しになってしまう……。
「どうしたのだ?」
「いえ………幸せだなぁと思いまして」
泣きそうなのを誤魔化すように私は陛下に笑って見せ、
そして、ふと思った。
今私は幸せだけれど、力を持つ私のご先祖様も幸せだっただろうかと。
争いの火種になり、森深くの里に身を潜め一生を過したその人生はどのようなものだったのだろうか。
そして、私はこの力をこれからどう使っていくか………。
たくさんの課題は残っているけれど、妃として……皇后として。
これから先、私がしなければならない事は_______…………。