暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】

サニーが部屋から出たあと、入れ替わるようにダリアが静かに中へ入ってきた。

「お妃様。ご飯の用意が整ったのですが、以下がなされますか?」

「あ〜………………やめとくわ」

何だか朝から気分が優れず、そういえば朝もまともにとっていなかった気がするけど、どうしても今は食べる気になれない。

別に熱があるわけではないのだけど…………。

「ですが……身体に障ります。どうか一口だけでもお願い出来ないでしょうか?」

朝からまともに食べていない私を心配して、ダリアが不安げにそう言ってくるので、

「では、ここにご飯を用意してもらえるかしら?」

せっかく用意してくれたダリアの為にも一口だけ頂くことにした。

ダリアは嬉しそうな顔を見せるとすぐさま料理を部屋の中に運び、それをただ見ていただけなのだが、

「……………うっ!」

いきなりの吐き気が私を襲い、思わず口に手を添える。

「お妃様…どうされましたか!?」

その様子にダリアは慌てた様子で私に近寄る。

「……大丈夫。ちょっと気分が悪くなっただけだから…」

心配をかけないように頑張って笑ってみせるが、

「…………うっ!!」

ご飯の匂いに酔ったのか吐き気が止まらない。

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