暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】


そして、再びある本に目がいった。


それは歴史本と並ぶ茶色の日記帳………。

以前ここへ足を踏み入れた時は、これを開くことが何故か出来なかったのだっけ。

手にとって良く見てみるとその日記帳は結構古いもので、名前も何も書かれていない。

一体誰かが歴史本コーナーにこのような物を紛れさせたのだろうか。

恐る恐るそれを開き中身を確認してみたが、そこに書かれていたのは…………


「何これ………………全く読めない」

誰かが書いた日記のようだけれど、そこに書かれていた字はこの国のものでなく全く読めない。

他の言葉もある程度は学んできた私だけど、これだけは分からない。

たくさんの線が折り重なり記号のようにも見えるその字。

私にはその字が分からないけれど、どこか………切なく感じた。

「何かしら…………この感じ」

読めないのに、切ない。

パラパラ…………とページをめくっていく。

結局文字が読めないまま最後のページへとたどり着いた。


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