暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】



その光景をずっと周りで見ていた生徒達からは歓声があがり、気づけばクレハは生徒達によって取り囲まれていた。

「すげー!!お兄さん何者!?」


「動きとか早くてわかんなかった!!」

「どんな練習してんのー!?」


質問の声が飛び交いクレハは何だか困った様子だったが、確かにクレハは本当に凄かった。


無駄な動きなど何一つなく、まるで舞うように軽やかで一つ一つがしっかりとしていて、流石陛下が付けてくれた護衛だと思う。




それと……………………



「グラントあなた強くなったわね」


小さい頃しかあまり印象になかった私は、グラントがあそこまで戦えるとは知らずとても驚いてしまった。


今回は負けてしまったが…………というか相手は宮殿の騎士な訳だが、それを相手にあそこまで戦えたのはやはりグラントが他の子よりずば抜けている証拠だとも思う。


それなのに、


「……………強くねぇよ」


「え?」


「これじゃあ何一つ守れねぇ……」


とても悔しそうに何かよく分からないことを口に出す。


「何言ってるの?グラントはとても強かったじゃない!」

他の子であれば直ぐにやられていたと思うのだが。


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