暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「負けたら意味がねぇ。弱いと一緒だ」
「そんなことは無い。今回グラントは負けたけれど次に繋げるチャンスを得たんだよ?」
「次に繋げるチャンス……?」
「そう。課題が見つかったのなら次はそれに向けて頑張ればいいの。そして、次にあった時には見返してやればいい」
負けて落ち込んだグラントを励ましたくてそのように言ってしまったが、
その見返す相手は………………グラントにとってクレハにあたるんだよね。
ちょっと………というか結構難しい話ではあるけれど、目標が高いほど燃えるっていうし。
「そっか…………………俺決めた!!!」
私のその言葉に何かが閃いたのか。グラントは大きな声を出すとヒョイッと起き上がった。
そして、
「なぁ!!」
生徒達に囲まれるクレハに話しかけた。
「何だ」
「俺ずっと自分のこと強いって思ってた。……………けど、今回の事でよく分かったんだ。だから"次会うとき"は絶対負かしてやる」
「………………ほう。これは面白い」
正々堂々啖呵を切るグラントへ興味深そうにフッとクレハは笑ってみせた。