暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
story2
目覚めた先は
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フワフワした素材の肌触りと、時々香ってくる花の良い匂いに私は目を覚した。
「ここは……」
見覚えのない豪華な部屋にカーテンレールによって仕切られたベッド周り。
カーテンレールをめくってみれば見たことのない綺麗な花が花瓶に入れられていた。
「先程香ったあの香りはこれだったのね」
その濃いピンク色をした花はアンディード帝国にないが、ある国に生息する植物によく似て見える。
「本で読んだ事ある…………。これはサナタヤンカという花だわ」
暑い環境を好み、少ない水でも生きられるというこれはまた珍しい性質をした花……。
それを見れるなんてビックリだわ。
私が部屋に飾られた花へ夢中になっていると近くから女の人の声が聞こえた。
「お目覚めになられましたでしょうか?」
「え!?あ…………はい」
声のした方へ視線を向けると珍しい素材の服装に身を包んだ女の方がこちらを見つめながら立っていた。
……………そう言えば私変な集団に売買されてそれで………待って!!!
確か赤い髪の男の人を見たわ。
あれはいつか本で読んだ、ある国の種族の性質と似ていて、その国では代々ワインレッドに近い髪色を持った子が王位を継ぎ、王位継承者かどうかは髪色で決まるとも言われている。
確かそこは滅多に雨の降らない砂漠の地にある国で、ガルゴ王国と記されていた。
実際に来たことはなかったがまさか…………………本当にここが?
「あの私をここへ連れてきた男の方は今どちらへ?」
恐らくこの女の人は使用人で、私を連れてきたあの男の人がこの国の王子である可能性が高い。
私をアンディード帝国の妃と知っていて連れてきたのか、あの場の商品として買い連れてきたのか。
先ずはそこが知りたい。
……………いや、でも私が妃と知って連れてきたのなら牢屋に入れるなり、拷問を受けさせ国の秘密を自白させるなど行動を起こすはずだ。
このようにただベッドの上に寝かせた時点で可笑しい。
もしその人が私を妃と知らずにここへ連れてきたのなら……………………隠し通せれば生き残れる。
幸いウィッグは取られてないみたいだし、黒髪はまず見られてないだろう。