暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
私達はチベットさんに再び一礼するとその場を後にし、次の場所へと向かった。
部屋かと思うぐらいに広い厨房と王子様が入られるという大理石で出来たお風呂。
そして会議室と執務室……………は中に入れず外からの見学になったのだが、どれもアンディード帝国とは内装が違っており見てて面白いものばかり。
あの書庫だってこの国の歴史などの本が沢山置かれているのだろうと思っただけでワクワクする。
…………って、私の目的はこのまま侍女として過ごし隙を見て逃げることだった。
恐らく陛下の所にはもう伝わってしまっているだろうし……………変に被害者が出ないよう早く戻らないと。
特に護衛を任されていたクレハがどうなったのか心配だ。
私のこの身勝手な行動のせいで責任を問われていなければ良いのだが………。
______ザワ…ッ。
ん?
私がギャビンさんの後ろをついて行きながらそう考え事をしていた時、周りが何だか騒がしく感じ私は辺りを見渡した。
なんでだろう?
その人達は私を恐ろしいかのような目で見ており、
その他には遠巻きに私を見てはコソコソ言ったり、まるで『コイツ終わったな』かのような目にも見えるが…。
「………テリジェフさん。前です、前」
「え?」
顔を真っ青にしつつ、深く礼をしたままのギャビンさんに言われ前を向く。
そういえば前にいるはずのギャビンさんがなぜ前などと言うのだろうと、ふと疑問に思ったのだが
特にそこまで深くは気にせず言われるがまま前を向くと
そこにいたのは_________
「俺を無視するとはいい度胸や(笑)」
私を買い、ここへ連れてきた赤髪の男。そう……………
アルヴァン王子様が目の前に立っていた。