暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】


まぁ今回はたまたま運が良かっただけなのかもしれないし、そもそも場所もアンディード帝国までの距離も分からない今、

最悪な状況には変わりない。



「実に面白い事を言う女やな!話し方的に教養もなってるみたいやし奴隷にしては他の者(女)より意思がハッキリしとる。………なぁ、一つ気になったんやけどええか?」

「何でしょう?」

ハハハッと顔を緩ませ笑ったと思ったら、急に真顔に戻る王子様に若干嫌な予感をしつつ、私は恐る恐る答える。


まさかさっき発した言葉が足をとられる事となるとは、この時思っても見なかった。

「アンタ………何者や?」

「……………何のことでしょう?」

思わず首を横に傾ける。

突然発せられたその言葉の意味がこの時は全く分からなかった。

「何でアソコで捕まったやつが他の奴隷がどうゆう末路を辿ったのか分かってたんや?たまたまアソコで捕まってたとしてもや、平凡な市民がいつそれを知る機会がある?」


…………………ヤバい。

確かにアルヴィン王子様の言う通りだ。

大体の奴隷は一般市民が業者から拉致られて売られるパターンが多い。

しかもそんな一般市民は人身売買がどういうものか知っていても、実際どういう末路を皆が辿ったのかは流石に分からない。

そう、その奴隷がわざと潜入したスパイじゃないと。



…………………だけど中には他の貴族から売られた出戻り奴隷と言うものもあるらしいので、仮にそうであれば他の奴隷の事情を知っていても可笑しくはない。


まぁそんな出戻り奴隷は基本処分されてしまうので、生きて売られる事自体ごく稀なのだけど。


しかし……………アルヴィン王子様が私の話を上手く信じてくれればこの状況は切り抜けられる!

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