暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
私は疑うような鋭い視線を私へ向ける王子様の目をしっかりと逸らさず見て、恐る恐る話を切り出してみた。
そう。まるで私が恐ろしい体験をしてきたかのように。
「………私は以前あるお貴族様の奴隷でした。年齢層のバラバラな人達が日々お貴族様の奴隷として、苦痛な仕事を強いられており、身の持たない者から先に処分(死)されておりました」
「…………つまりお前は出戻りか?」
「結果から説明させて頂くとそうなります。お客でしょうか…………そのような使い方に疑問を持たれた方により、数名だけその場から内密に逃して頂きまして、どの様な縁なのか再び奴隷としてこうして働いております」
この話を嘘だと見抜かれてしまえば……生きて帰れないかもしれない。
私は内心ヒヤヒヤしつつ、バレぬよう王子様の瞳を見続けた。
「……………」
「………………」
お互い無言が続く。
そして、
王子様は何を思ったのかフッと笑った。