暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
私はふと抱いた疑問を軽い気持ちで投げかけてみた。
きっとここへ来て感覚が麻痺していたのかもしれない。私が奴隷として買われこのような扱いを受けていたから、ここではきっと買われた奴隷は皆そうゆう扱いをされているのではないかと。
しかし王子様から発せられた言葉は驚くもので、私は思わず目を見開いてしまった。
「今……………なんと仰りましたか?」
「あんたの前に他国で購入した奴隷やったら、外交の贈り物として他国へ送ったが?それがどうしたんや」
他国へ送った?それも外交の贈り物としてなんて。
アンディード帝国はその様な事をしていないが……………というか陛下は以前女性に興味がなかったのでそう言ったもの全て断っていたらしいが、確かに外交の贈り物として侍女や側室もしくはハレムの女性を相手側へ送るということは他国では友好関係の証だと聞いたことがあった。
だけど、もの扱いにしかも人選もなしに扱われるなんて流石に酷すぎる。
ついでに言うと、それをどうも思っていないかのような言い草なのだからなおさら酷い。
いつもの私なら口に出して一言何か言っていたかもしれないが、現段階では王子様の性格を知らないので下手に動かない方が良いだろう。
死刑などなったら元も子もないので。
……………それにもし私が他国で死んだと陛下の耳に入ったりでもしたら、間違いなく戦争が起こる。
私のせいで国民の血が流れるのは嫌だ。
私は気持ちを落ち着かせるように息を吸うと、これからの事について考える。
私もいずれ贈り物として他国へ送られるかもしれないし、場合によっては処刑される恐れも考えられなくはない。
他の国へもし送られでもしたら、距離によってはアンディード帝国に戻る事が困難になる恐れもある為、それは避けたいところだ。