暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
………………陛下。
勝手に行動し行方しれずとなった私を怒っているかしら。最近私の我儘や行動を多目に見て下さっているけれど、今回こういった事を起こしてしまった事を含めて、きっとお怒りになっているに違いないわ。私の事を嫌いになったりしていないといいのだけど………………。
あぁ……陛下に会いたいなぁ。
「どうしたんや?次は暗い顔して」
そういえば、まだ王子様と会談中だった。
私は気を取り直して、王子様へ返事を返す。
「いいえ。何でもございません。王子様の前で失礼致しました」
「そうか。なら別に良いんや。そう言えば、あんたは"あの国の陛下"の噂とか聞いてないんか?」
あの国の陛下……………?
「あの……………あの国の陛下と仰られますと?」
「なんや、あの国の陛下っち言ったら、アンディード帝国に決まってんやろ!奴隷でも何か知っとんとちゃうか?ほら、奴隷先の家で噂話を聞いたとか」
気を取り直して最初の質問それ……!?
話が戻っちゃうじゃん…………。
「知らんのか…?」
「あの………いえ、その………」
知らないも何も凄く知っていますとも。何せ、夫ですから。
口が裂けても言えないけれど。