暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】



とりあえず何か言わなきゃ。

「私は身分の低いただの奴隷でしたので、あまりそう言ったような話は残念ながら聞いておりません。主様も奴隷の前では仕事話すらなさいませんでした」


「………………そうか。つまらんなぁ。確かにあの陛下と絡みのある重要な官僚や貴族が奴隷や使用人の前でそんな話はせんか」


王子様はそう言って長い息を吐いた。

それよりもさっきから話に出てくる『あの陛下』とは一体…………。

この人は何を知って陛下を『あの』なんて言うんだろう。

疑われないように気をつけて、そのところ聞いてみようかな。

「陛下の事は存じませんが……一体何かよろしくない噂でもあるのですか?」

本当に分からないと言ったように首を傾げてみる。

自慢じゃないがこれまで自分を隠して生きてきたんだから、これぐらい楽勝よ!

「あんたは本当に何も知らんのやなぁ。まぁ、奴隷ならば当たり前といったら当たり前か。しゃーない、教えてあげるわ」

呆れられたような顔をされたが、教えてくれるようだ。

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