暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「まぁ、これは聞いた噂話やけどアンディード帝国の陛下は他の誰も口が出せない暴君で自分の要らないと思う人物は全て切り捨てる残虐な奴らしく、しかし反対に冷静でかつ長けた判断力に優れ、武術や政治その他荒れた地での統治力が官僚や民から支持される理由らしい。以前は血に染まった王なんて言われていたらしいけど、今は『誇り高き王』なんて言われてるらしいで」
血に染まった王という異名はメイド時代から知ってはいたが、王子様のいう『誇り高き王』というのは初めて聞いた。
なぜ誇り高き王など呼ばれているのだろうと不思議には思うが、血に染まった王よりそちらの方が響き的に聞こえがよいので、それはそれで良いとは思う。
「威厳がお有りの方なのですね。血に染まった王………とても恐ろしく感じます」
私はいかにも恐ろしそうに顔を歪ませる。
私が知らぬことを他国も者が知っていると言うことは、アンディード帝国に滞在していた時に恐らく噂か何かで聞いたのね。
「なぁ、それより面白い話を聞いたんや!」
面白い話?
「何でしょう?」
王子様の楽しそうな笑顔に釣られ、私もつい口元が緩んでしまう。
「あの冷酷な陛下がまるでお人が変わったかのように寵愛する妃が居るんやって! 」
…………んん?