暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「ちょ……寵愛されるお妃様でございますか……?」
「あぁ。あの陛下は容姿といい王という権力といい、他の女性が引き寄せられるには十分の魅力や。社交の場でもアイツを狙う貴族女性や姫はそりゃ多い。けど、あの陛下はいつも『必要ない』の一言で済ますんやって!俺も何年も前になるがその様子を見たとき思ったわ。あれは鉄壁やって」
鉄壁……………。
そんな言葉につい笑いそうになる。
いやたぶん我慢できず緩んだ口元が笑っていたと思う。
だって………想像できるから。
陛下は社交の場にはあまり出ないらしいけど、王子時代は参加させられていたと二人っきりの時にいつか言っていた。
きっとその時ね。
幼い顔の陛下は想像できないけれど、陛下がそんな女性の方々に冷たくて言い放つ姿が頭に浮かぶ。
「しかもどんなに綺麗な女や地位の高い権力者の娘が近寄ってきても、その陛下は『妃さえいれば他はいらぬ』なんて事いうらしいんや!俺は勿体ないって思うが、きっとその妃はそんな女達すら相手にならないような、絶世の美女なんやろうなぁ」
……………………んん?え、え?
ちょっと待って…………その妃は私だよね?でもその絶世の美女とは??
なんか、陛下が他の方を拒みすぎて………そんなイメージになってるの私!??