暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
そして、その予感が的中するように陛下は黒い笑みを浮かべながら口を開く。
「余達もあちらへ行けば良い。ただし………客人としてな」
「…………んん!?ちょっと待て。あちらへ行くとは??しかも客人としてだなんて……!?」
「そのままの意味だ。表では交流を深め合う目的であちらへ行き、その中で妃の居場所を突き止める。妃が何らかの手違いであちらへ連れ去られたなど言っても信じてもらえぬだろうからな」
陛下のそんな言葉にファンは顎に手を当てた。
「………確かに客人として潜入した方が怪しまれずに国内を動きやすい。仮に見つかっても何かと視察で済むしな。それに王族とも会え、居場所特定にも繋がるってわけか」
「そうだ」
陛下はこれまで自ら他国へ親交を図りたいなどの手紙を送った事はないので、今回が初めてとなる。
それを含め相手は………周りはどう反応を示すのかも見ものだ。
「手紙はすぐ書こう。ここからガルゴまでの距離は?」
「馬を飛ばして……4日ほど」
「送るまでに4日。そして、返事が返ってくるのにまた日を要するのか………」
思わず陛下の顔が曇る。
すぐに助け出せるのなら、現在無事である確率は高い。しかし、時間が経つにつれその確率は……次第に下がり始める。