暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「スフィア様ですね。侍女として大変未熟者ではございますが、どうぞ宜しくお願い致します」
任された仕事はきちんとこなすのが私のポリシーなので、とりあえずここにいる間はこの側妻様に仕え、時期が来たら隙をみて逃げる事にしよう。
挨拶が済むとスフィア様は中へと戻り、許可を得て私も中へと入る。
室内はやはり暗くて寒々しく、一つのランプのみがその部屋を照らしていた。
おかしい…………………。
それについて自分の中で疑問が浮かぶ。
「スフィア様は暗いお部屋がお好きなのですか?」
この部屋の配置といい室内といい、とてもじゃないが暗すぎる。これじゃあ日の光でさえ差し込まない。
私が最初にいた部屋はどれも上から垂れ下がる電灯やシャンデリア、複数のランプによって明るく照らされている部屋ばかりだった。
私の問いにスフィア様は困ったような表情をした。
………………これは何かありそうね。