たとえ、この恋が罪だとしても。





ガチャー…


「!」

しばらくして、玄関の扉が開いた。


「…こんなとこで座り込むな」


私が光太郎の家に持って行った勉強道具を片手に、お兄ちゃんが帰って来た。


「ほら」


お兄ちゃんの手から、持ってきたものを渡される。


「あ…ありがとう」

やっぱり、光太郎の家に行ってきたんだ…


勉強道具を受け取る時、お兄ちゃんの手から血が出ているのが見えた。


「お兄ちゃん…手…」


そう言うと、さっと手を引っ込めたお兄ちゃん。



「休むなら、自分の部屋行けよ」


さっきとは違い、お兄ちゃんは靴を脱ぐとさっさと階段に上って行ってしまう。




「待って!お兄ちゃん!」


その背中を呼び止めると、お兄ちゃんは溜め息をつきながら振り返った。


「手…血出てるから…手当てしないと…」


内心、ダメ元で言った。


どうせ、¨いい¨って言うだろうけどー…



「…あぁ」


「!」

え!?


お兄ちゃんは上っていた階段を下り、リビングへと向かう。




「あ…待って…」


慌てて立ち上がると、お兄ちゃんの後を追った。



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