たとえ、この恋が罪だとしても。





呼び止めると、お兄ちゃんは振り返ってくれた。


「わたし…私は…光太郎の気持ちに答えることができない…」

「…あぁ」

「だって…私はー…」

ドキン、ドキン。


¨お兄ちゃんが好きだから¨

ドキン、ドキン。

「…っ」


そう言いそうになる言葉を飲み込む。






そして、その飲み込んだ言葉が何故か涙として出てくる。



「ふっ…」



色々なことがありすぎて、もう頭の中はごちゃごちゃ。
お兄ちゃんの言うことは、わかった。
けど、私は光太郎の想いに答えることができない。

だって、お兄ちゃんが好きだから。
けど、その想いは死んでも言えない。


どうして…




どうして私はー…





声に出して言えない人を、好きになってしまったんだろう。






< 114 / 221 >

この作品をシェア

pagetop