たとえ、この恋が罪だとしても。
「真優」
「!」
リビングから出て行こうとしていたお兄ちゃんが、目の前まで戻ってきた。
「あんま泣くと、ブスになるぞ」
「!?」
お兄ちゃんの一言で、溢れ出ていた涙が止まった。
今…ブスって…
ポカーンと、お兄ちゃんを見上げてしまう。
泣いてる妹に…ブスって…
「今、すっげぇブス顔」
「!…っ。お兄ちゃん!?」
また、ブスって!!!
「光太郎のことも大事かもしれないけど、来週中間ってことも忘れるなよ」
そう言いながら、ほっぺを引っ張るお兄ちゃん。
「わ…わかってるよ…」
引っ張られているため、喋りにくい。
「どうだか。中間で悩んでるようなら、期末なんかもっとヤバいだろうな」
「え!?」
お兄ちゃんの手がほっぺから離れた。
「2年に進級できなかったりして」
「!?」
そんな、まだ1年の一学期なのにー…
「そうならないように、頑張って勉強しろよ」
「いたっ」
ぴんっと、デコピンをされてしまった。
「…そう言うなら、お兄ちゃんが勉強教えてくれればいいのに」
デコピンをされた額を摩りながら、ぽつりと無意識に出てしまった言葉。
私、今何をー…
ハッとして、口元を抑えた時には遅い。
恐る恐る、目の前にお兄ちゃんを見上げる。