たとえ、この恋が罪だとしても。
学校に登校して同じ教室に居ても、光太郎は一回も話し掛けてくることはなかった。
朝、お互いに思っていることを言い合って和解できたと思っていたが、昨日の今日でさすがに、今まで通りってことは難しいのかもしれない。
ーーーーー…
「光太郎は、悪さでもしたのか?」
その日の放課後、お兄ちゃんと約束をしている図書室に向かおうと廊下を歩いていると、山崎先生が前から歩いてきた。
「山崎先生…」
「今日のあの顔、ひどいな」
光太郎の顔を思い出したのか、山崎先生が苦笑いをしながら言った。
「…何で私が関わってると思うんですか?」
昨日のことは、山崎先生は知らないはずー…
「何年教師やってると思ってるんだ。白石と光太郎がギクシャクしてるのは、教卓の前から見渡したらわかる。で、あれは誰に殴られたんだ?まさか…白石?」
「私なわけない…いや、ちょっとあるけど…」
鋭い山崎先生の質問に、シドロモドロになってしまう。
「あんな顔腫れるほど、力強いのか?」
わざとらしく驚いた顔で、山崎先生が聞いてきた。
「!私じゃないです!!あれは、お兄ちゃんが…」
と言いかけ、ハッとして口を手で押さえた。