たとえ、この恋が罪だとしても。



山崎先生は、一体何を言いたかったんだろうかー…

そんなことを疑問に思いながら、お兄ちゃんの元までやっと追い付いた。



「山崎と仲良いんだな」

「!」


3歩ほど前を歩くお兄ちゃんが、前を向いたまま言った。


「仲が良いというか…」

突然の質問に、戸惑う。


光太郎も同じようなこと言ってたけど…


「部活の顧問だし…担任だし…」


仲が良いと言われても、ただそれでしかない。

歩きながら腕を組み考えるが、山崎先生と仲良さそうに見えるのは何故だろう?と考える。



「美術室でいつも楽しそうに話してるだろ?」

「!」

「お前の笑い声、外まで響いてる」

「え!?」



外までって…
確かに美術室は1階で、グラウンドに面した場所にあるけどー…


「グラウンドから丸見えなんだよ、美術室。いつも、いつも山崎と楽しそうにしてるの皆知ってる」

「えぇ!?」


丸見え!?

皆知ってる!?


驚きのあまり両手で、自分の頭を抱える。

「お前、無防備すぎるんだから気をつけろよ」

「…」


淡々と言った、お兄ちゃん。



けど、そう言ったお兄ちゃんの言葉の意味は、今なら少しわかる。


光太郎のことがあったから、心配してくれてるんだよね…


「…お兄ちゃんこそ、しょっちゅう彼女変わってるみたいだけど、いつか刺されるよ?」


お兄ちゃんが心配してくれるのは、嬉しかった。
けど、口から出てしまうのはつい嫌味になってしまう。



「そんな女とは付き合わねぇよ」


「…あっそ」


ふーん。


自分で話を振っといて、自爆してしまった。












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