たとえ、この恋が罪だとしても。
図書室に入るとテスト週間中だけあって、ほとんど席は空いていない。
そして、注目されるお兄ちゃん。
扉を開けた時には皆、下を向いて勉強していたはずなのに、お兄ちゃんが図書室に来たと一人が囁くと、ほとんどの女子生徒がお兄ちゃんの様子を伺っている。
そんなことを気にしていないのか、お兄ちゃんは図書室の奥へと向かって行ってしまう。
「え…ちょ…」
慌ててその後を追うが、視線が痛いのが気になる。
「悪いな。2時間ぐらいで終わると思うから」
お兄ちゃんの元まで行くと、何やら奥にある貸出のカウンターで誰かと話している。
そして、鍵を受け取った。
…何の鍵?
黙ってそのやりとりを見ていると、お兄ちゃんが¨あっち¨と声に出さず指さした。
あっち?
指をさした方向を見ると、奥の奥の方に小さな扉があった。
何…あの部屋…
見た目は、秘密の部屋って感じだけど…
じっとその扉を見つめていると、お兄ちゃんの手が腕を掴んだ。
「!?」
何事かと、驚いた顔でお兄ちゃんを見上げる。
すると、¨喋んな¨と口パクで言われる。
声が出てしまいそうな口をきつく閉じると、お兄ちゃんに引っ張られるまま奥の扉へ入った。