たとえ、この恋が罪だとしても。
「ごちそうさま」
お兄ちゃんが朝食を食べ終わり、椅子から立ち上がった。
「真優、後10分したら行くぞ。それまでに食べ終わらないと置いてく」
そう言うと、お兄ちゃんは制服を着替えに自分の部屋に向かった。
「…もう」
後、10分ってー…
早食いなんかしたくないのに。
そう思いながらも、急いでご飯を食べ、急いで歯を磨いた。
お兄ちゃんに置いてかれないように、10分前には玄関で待つ。
「真優、お母さんたち後から行くから。入学式の後、写真撮りましょうね」
お兄ちゃんを玄関で待ちながら、お母さんが制服のリボンを正す。
「うん。…ありがとう」
すると、階段を下りてくる足音が聞こえた。
「お兄ちゃん、真優のことお願いね」
お母さんが階段から下りてきた、お兄ちゃんに向かって言った。
「お母さん、もう子供じゃないんだからっ…」
中学生になったのに"お願い"と言われると、何か恥ずかしい。
「あぁ。悪さしないように見とく」
「悪さ!?」
学ラン姿で下りてきた、お兄ちゃん。
「悪いことなんかしないよ!?」
「はいはい」
少し揉めながら、二人で靴を履く。
「いってきます」
「あ…お母さん、いってきます」
そう言いながら、玄関の扉を開ける。
「いってらっしゃい。またあとでね」
玄関で見送るお母さんに手を振り、家を出た。