たとえ、この恋が罪だとしても。



睨み付けた目が一瞬だけ合ったが、すぐに逸らされた。


「光太郎、飼い主には噛みつくなよ」

そう言うと、お兄ちゃんは歩き出した。

「噛み…つく?」

光太郎は意味がわかっていないようで、首を傾げる。


「お兄ちゃん!」

お兄ちゃんが言った意味はわからないけど、バカにしてるんだろうってことはわかった。

名前を呼んでも、どんどん歩いて行ってしまう。


「あ…涼真先輩っ。待ってください」

「お兄ちゃん」


慌てて、光太郎と後を追う。




「なんか真優、制服でかくね?」

走りながら、光太郎が聞いてきた。

「まだ成長期だからいいの」

「え、もう止まったんじゃないの?」

「う…うるさい!」


光太郎まで、お兄ちゃんと同じこと言う。


我が家の遺伝子だと、まだまだ身長伸びるもん。




…多分。



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