たとえ、この恋が罪だとしても。




学校に着くと、校門の前には"入学式"の立て看板。

小学校からほとんど代わり映えしない同級生たちが、新しい制服を着て、校門の前で両親と写真を撮っている。


「真優、新入生の受け付けあっちだから。じゃあな」


体育館の方向を指さし、お兄ちゃんは言うと校舎に向かって歩き出した。


「え…お兄ちゃん…」

呼び止めようと思ったが、言葉が出なくなった。


だって…


「涼真!おはよう」

一人になったお兄ちゃんの隣には、同じセーラー服を着た女の子がすぐに立ったから。



…誰…あの人ー…



お兄ちゃんの隣に、くっついて歩く女の子。



「あれ、涼真先輩の彼女だろ?」


ドクン!


心臓が深く脈打ったのがわかった。


「…え?」


力なく、隣にいる光太郎に聞き直した。


「よく夕方に一緒に帰って来てるのを、何回か見かけた」


…知らなかった。


でも…


「い…一緒に帰って来てるだけで、彼女だとは…」


動揺してしまい、言葉がうまく喋れない。



「友達同士で手を繋いで帰るか?」

「!」


お兄ちゃんが手を繋いで…



とうとう言葉が出なくなってしまった。



< 16 / 221 >

この作品をシェア

pagetop