たとえ、この恋が罪だとしても。
学校に着くと、校門の前には"入学式"の立て看板。
小学校からほとんど代わり映えしない同級生たちが、新しい制服を着て、校門の前で両親と写真を撮っている。
「真優、新入生の受け付けあっちだから。じゃあな」
体育館の方向を指さし、お兄ちゃんは言うと校舎に向かって歩き出した。
「え…お兄ちゃん…」
呼び止めようと思ったが、言葉が出なくなった。
だって…
「涼真!おはよう」
一人になったお兄ちゃんの隣には、同じセーラー服を着た女の子がすぐに立ったから。
…誰…あの人ー…
お兄ちゃんの隣に、くっついて歩く女の子。
「あれ、涼真先輩の彼女だろ?」
ドクン!
心臓が深く脈打ったのがわかった。
「…え?」
力なく、隣にいる光太郎に聞き直した。
「よく夕方に一緒に帰って来てるのを、何回か見かけた」
…知らなかった。
でも…
「い…一緒に帰って来てるだけで、彼女だとは…」
動揺してしまい、言葉がうまく喋れない。
「友達同士で手を繋いで帰るか?」
「!」
お兄ちゃんが手を繋いで…
とうとう言葉が出なくなってしまった。