たとえ、この恋が罪だとしても。
*少しずつ動き出した、運命の歯車
「…ごめん、白石」
溢れ出てくる涙を腕で拭っていると、山崎先生がその腕を引っ張った。
「!」
「少しだけ我慢して」
耳元でそう囁かれ、私の身体は山崎先生に包まれた。
「や…山崎先生?」
突然抱き締められ離れようとするが、身体を引き離そうとするともっと力を込められる。
「あの…」
何が起こっているのか、理解できない。
ただ今わかっているのは、山崎先生の体温と心臓の音が私の身体にも伝わってきているということだけー…
「…何してんだよ、山崎」
ドクン!
この声ー…
背後から聞こえてきた、聞き覚えのある声がした。
この部屋にいるはずのない、声の持ち主ー…
恐る恐る、声がした方向に顔を向けた。
ドクン!
視界に入った人物を見て、心臓が深く脈打った。
…どうしてー…
ドクン、ドクンー…
どうして、お兄ちゃんがここに?