たとえ、この恋が罪だとしても。
「さっき一瞬だけ本性見せたと思ったら、もういつも通りか。さすがだな」
「…」
本性?いつも通り?
お兄ちゃんが?
「学校1の秀才は、学校外でも完璧か?」
「!」
山崎先生の言葉は、さっきからお兄ちゃんを煽っているように聞こえる。
…お兄ちゃんを煽って何をしようとしてるの?
「そんなことはどうでもいいと言ってるでしょう?…真優」
ビク!
お兄ちゃんに名前を呼ばれ、身体がビクっと跳ねた。
山崎先生に抱き締められたまま、恐る恐るお兄ちゃんの顔を見た。
「迎えに来た、帰るぞ」
「!」
お兄ちゃんが迎えに来てくれた。
いつもなら、すごく嬉しいのにー…
¨気持ち悪いことするな¨
ドクン、ドクン。
お兄ちゃんにキスしてしまい、拒絶されてしまった私は家に帰ることができない。
「真優!」
「…っ」
お兄ちゃんにもう一度名前を呼ばれるが、目を合わせていられず、山崎先生の胸に顔をうずめた。
ドクン、ドクン。
自分の心臓の音が、全身に響く。
私は、お兄ちゃんの元には帰れない。
ぎゅっと、山崎先生の身体を抱き締める手に力が入る。